ある音程比(周波数比)をセントに直すには?
計算所
わかりやすく解説
まず平均律による半音の音程比を求めたい。
定義上、平均律でもオクターブ(8度)は、音程比1:2である。
比率の関係は常に掛け算で表されるため、この間を12で均等に分けるには、
12回掛けてやっと2になるような数字を用意することになる。
ということは、少々トリッキーであるが、その数字は2の12乗根 \( \sqrt[12]{2} \)である。
(この数値を12回、1に掛ければその1は2になる。)
\[ 1,\sqrt[12]{2},(\sqrt[12]{2})^2,(\sqrt[12]{2})^3,(\sqrt[12]{2})^4,…,(\sqrt[12]{2})^{12}=2 \]
\( \sqrt[12]{2}=2^\frac{1}{12} \)だから、
平均律での半音の音程比は
\( 2^\frac{1}{12}:1 \)と導出される。
(分数による音程比は、分子>分母で書くのがルール)
ところで音楽学者のエリスは平均律での半音間の比を100¢(セント)と定めた。
(加減の世界でこの数値を用いるならこれを半音の距離ともいえる。)
そうすると、さきほどの比は、\( \frac{2^\frac{1}{12}}{1}=100¢ \)と表せる。
さて、例として3/2という音程比をこのセントを用いて表すとしよう
求めるセント値は上式より、\( 100¢\times\frac{\frac{3}{2}}{2^\frac{1}{12}} \)により導かれる。
計算するために分母分子に10底の常用対数をとり、
\[
\frac{\log_{}\frac{3}{2}}{\log_{}2^{\frac{1}{12}}}\times{100¢}=
\frac{\log_{}\frac{3}{2}}{\frac{1}{12}\log_{}2}\times{100¢}=\\
12\frac{\log_{}\frac{3}{2}}{\log_{}2}\times{100¢}=
\frac{\log_{}\frac{3}{2}}{\log_{}2}\times{1200¢}=\\
\frac{\log_{}3 - \log_{}2}{\log_{10}2}\times{1200¢}=\\
(\frac{\log_{}3}{\log_{}2}-1)\times{1200¢}=\\
\]
あとは関数電卓を叩くか、常用対数表により、
\[
\log_{10}2 = 1.0086\\
\log_{10}3 = 1.0128
\]
として求める。
また底の変換公式により、
\[
\frac{\log_{}3}{\log_{}2} = \log_{2}3
\]
であり、こうして2底を取っても求められる。
関数電卓で計算すると、
求める値は701.955となって、
702¢となり、平均律の5度は、純正律の5度よりわずかに広いことがわかる。
ちなみに、この程度の差は3度とは違い、聞き分けができないので、
作曲や演奏においては一般に無視される。
一般に、与えられた音程比xをセントに直すには
\[
\frac{\log_{}x}{\log_{}2}\times1200¢=\log_{2}x\times1200¢
\]
(logは10底)
で求められる。